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第四章 小さな救い

مؤلف: 海野雫
last update تاريخ النشر: 2025-09-09 19:00:57

 あれから三日が過ぎた。

 俺は相変わらず出版社での日常を過ごしていたが、心の片隅では橘蓮という男のことが気になっていた。あの公園での出来事—蓮の真剣な眼差し、「君の笑顔に救われた」という言葉、そして俺を見つめる時の照れた表情—それらが頭の中でぐるぐると回り続けている。

 土曜日の夕方、蓮と食事をする約束をしている。連絡先も交換した。

 なぜあんな約束をしてしまったのだろう。そして、なぜ俺はあの時、あんなにも自然に「お願いします」といってしまったのだろう。

 仕事に集中しようとデスクに向かっているが、原稿を読んでいても文字が頭に入ってこない。コーヒーの味も分からない。窓の外を見れば、あの公園の方角ばかりに目が向いてしまう。

 蓮の真剣な眼差し、俺の笑顔に救われたという言葉、そしてあの照れた表情。

「藤崎さん、大丈夫ですか?」

 後輩の佐伯俊が心配そうに声をかけてきた。彼は俺より五歳年下で、いつも明るい笑顔で職場の雰囲気を和ませてくれる貴重な存在だ。

「ああ、すまない。ちょっと考え事をしていて」

「最近、なんだか元気がないように見えます。離婚のこと、まだ気にされているんですか?」

 佐伯の率直な言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。離婚のことか。確かにそれもあるが、今は別のことで頭がいっぱいだった。

「いや、もうそれは吹っ切れたよ。ただ……」

 そこまでいいかけて、俺は口を閉じる。あの男のことを話すわけにはいかない。話したとしても、佐伯には理解できないだろう。俺自身、何が起きているのか分からないのだから。

「とにかく、心配してくれてありがとう。大丈夫だから」

 佐伯は納得していない様子だったが、それ以上は追及せずに自分の席に戻っていった。

 その日の夕方、俺は編集会議で遅くなり、いつもより二時間遅れで会社を出た。秋の夜は訪れが早く、もうあたりは真っ暗だった。駅へ向かう途中、なんとなく足取りが重くなる。

 家に帰っても一人きり。温め直すだけの夕食と、静まり返った部屋が待っているだけだ。

 そんなことを考えながら歩いていると、突然、視界がぐらりと傾いた。血の気が引いていくのが分かる。ここ数日、まともに食事を摂っていなかったツケが、今になって回ってきたようだ。

「うっ……」

 立ち止まって頭を押さえる。この数日、あまり食事をとれていなかった。考え事ばかりしていて、自分の体調に気を配る余裕がなかったのかもしれない。

 無理をして歩き続けようとしたが、足元がふらつく。近くにあったベンチに腰掛けて、深く息を吸った。

 冷たい夜風が頬を撫でていく。もう十一月も中旬だ。もうすぐ冬がやってくる。

「藤崎さん?」

 暗闇の中から聞こえてきた声に、俺は息を呑んだ。まさか、こんな時に。

 そこには橘蓮が立っていた。制服姿で、どこかの現場から帰る途中なのだろう。驚きと心配が入り混じった表情を浮かべている。

「大丈夫ですか?顔色が悪いように見えますが」

「あ、橘さん……大丈夫です。ちょっと疲れているだけで」

 俺は立ち上がろうとしたが、またふらついてしまう。蓮がすぐに駆け寄り、俺の腕を支えてくれた。

「無理をしないでください。熱があるんじゃないですか?」

 彼の手がそっと俺の額に触れる。その瞬間、電流のような感覚が走った。心臓が一拍飛んで、次の瞬間激しく脈打ち始める。なぜだろう――美奈に触れられても、こんなふうに胸が高鳴ることはなかったのに。

 彼の手は思いのほか温かくて、大きかった。

「少し熱っぽいですね。家はどちらですか? 送らせてください」

「いえ、そんな……迷惑をかけるわけには」

「迷惑だなんて、とんでもないです。放っておけませんよ」

 蓮の声は普段のクールな調子だったが、どこか強い意志を感じさせた。俺は反論する気力もなく、結局彼に住所を教えることになった。

 タクシーを拾って、俺のマンションまで送ってもらう。車内で蓮は無言だったが、時々俺の方を心配そうに見ていた。その視線を感じるたびに、なぜか胸がざわめく。

 マンションに着くと、蓮はごく自然に俺と一緒に部屋まで上がってきた。

「すみません、散らかっていて」

「気にしないでください」

 玄関で靴を脱ぎながら、俺は改めて蓮の存在感に圧倒される。普段一人で過ごしているこの部屋に、人が入ってくるのは離婚して以来初めてだった。

「とりあえずベッドで休んでください。薬はありますか?」

「薬箱は台所の戸棚に……でも、そこまでしてもらう必要は」

「義理ですから」と蓮は短く言った。

 また「義理」という言葉が出た。

 蓮は慣れた様子で薬箱を探し、水を汲んできてくれる。そして風邪薬を俺に差し出した。

「飲んでください」

 素直に薬を飲む俺を見て、蓮は少し安心したような表情を浮かべた。

「何か食べられそうなものはありますか?」

「冷蔵庫に卵があったと思います。でも、料理なんて……」

「卵雑炊くらいなら作れます」

 蓮は台所に向かい、手際よく雑炊を作り始めた。俺はベッドに横になりながら、台所から聞こえてくる音に耳を澄ませた。

 包丁でネギを刻む音。鍋で出汁を作る音。卵をかき混ぜる音。

 こんな音を聞くのは、いつ以来だろう。美奈と一緒に住んでいた頃も、お互いに忙しく、料理をする時間はほとんどなかった。そのため、コンビニ弁当や外食ばかりの日々が続いていた。

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